はるのゆめ

ベルサイユのばらが大好きです

ただひとつの愛の証

前回、パリで暴民に襲われ、アンドレへの気持ちを自覚した場面を記事にしました。この直後、ジェローデルに、結婚をことわる場面が描かれます。

オスカルはジェローデルにわたしを愛してくれているかとたずね、誓ってまことの愛とこたえるジェローデル

愛はいとしいひとの不幸せをのぞまないものだがと言って、話し始めます。

「ここにひとりの男性がいる。彼はおそらくわたしがほかの男性のもとに嫁いだら、生きてはいけないだろうほどにわたしを愛してくれていて、もし、彼が生きていくことができなくなるなら、彼が不幸せになるなら、わたしも、また、この世でもっとも不幸せな人間になってしまう」

ジェローデルはすぐに、この男性はアンドレであることを察します。

アンドレグランディエ、彼のために一生だれとも結婚しないのですかとたずねるジェローデル、そしてあなたも愛しているのですかとオスカルの気持ちをたずねます。

「わからない、そのような対象として考えたことはなかった。ただ兄弟のように、いや、たぶんきっと兄弟以上に、よろこびも苦しみも、青春のすべても、わけあって生きてきた、そのことに気づきさえもしなかったほど、近く近く魂をよせあって」

そのこたえを聞き、ジェローデルはオスカルがアンドレを愛していることを、アンドレが不幸せになったら、オスカルも不幸せになることを理解します。

そして納得しましょうとこたえます。そして、わたしもまた、あなたが不幸になるなら、この世でもっとも不幸な人間になってしまうからですとこたえます。

そして、うけとってください、わたしのただひとつの愛の証です、身をひきましょう。とオスカルの手に口づけをして、去っていく、ジェローデル。

素敵すぎます。何度も何度も読み返してしまうシーンです。ジェローデルの崇高な愛の姿に、心を打たれてしまう、ベルサイユのばら屈指の美しい別れのシーンだと思います。