はるのゆめ

ベルサイユのばらが大好きです

オルフェウスの窓

ベルサイユのばら」ほどは有名ではないかもしれませんが、名作であることは間違いありません。

最初は、週刊マーガレットに掲載されていましたが、途中から月刊セブンティーンに掲載紙が変更になりました。内容が、少女マンガというより、もう少し大人向けの内容になっていったからでしょうか。

ストーリーの長さ、登場人物の多さ、難しさは、ベルサイユのばらの比ではありません。

暗い、重い、難解と思った方がいいですが、池田理代子先生が描きたいものを自由に描くことができた作品という感じがします。

ベルサイユのばらが大ヒットしていますから、自分の描きたいものが、自由に描けるようになった時代、そして、漫画家としても、成熟した時代の作品という気がします。

特に、絵柄がベルサイユのばらの後半の絵柄から、更に進化を遂げています。オルフェウスの窓は4部構成ですが、1部の絵の美しさは、池田理代子先生の頂点を極めているのではないかと思います。

その後、絵柄は変化していきます。よりリアルになっていくのですが、少女マンガらしい、華やかな絵柄ではなくなっていきます。好みがわかれるところでしょうが、私は3部後半あたりからの絵があまり好きではないです。

登場人物は、とても多いのですが、1部で主要人物は登場します。

ユリウス、イザーク、クラウス(アレクセイ)の3人が主役ですが、ほかにも魅力的な人物がたくさん登場します。むしろ、主役より準主役、脇役が魅力のある作品です。

ユリウスは、オスカルと同じような男装の麗人という設定ですが、置かれた環境も、性格も全く異なります。

1部は正義感の強いところ、気の強さなど、共通点もありますが、どちらかというと、自分の生きたいようには生きることができず、過酷な運命に弄ばれていくヒロインとなります。

イザークもピアニストとして、栄光もつかみますが、大きな挫折も経験しますし、自分の思い描いたようにはいかなかった人生です。

また、クラウスも天才的なバイオリンの才能がありましたが、ロシア革命の革命家として、最後は志半ばで亡くなります。

私の拙い解説でも、少しはオルフェウスの窓の世界が伝わったでしょうか。

とても、長い作品ですが、読んでいただくことをお勧めします。

好きか嫌いかは分かれるとは思いますが。

でも、栄光の人生より、挫折することの方がずっと多いのが、現実だと思いますし、そういうものを、描ききっている作品のような気がします。