ついに、恐れていたことが、現実になりました。ランベスク公率いるドイツ人騎兵が民衆に発砲し、テュイルリー宮広場で、暴動が発生しました。
その一報を受け、オスカルは隊長としての決断を迫られる時が来ました。
暴動発生の連絡を受けた時には、衝撃を受けたオスカルですが、その表情には迷いも恐れもありません。隊士たちに語り始めます。
「どんな人間でも人間であるかぎり、だれの奴隷にも所有物にもならない心の自由を持っている」そして、
「自由であるべきは心のみにあらず、人間はその指先1本、髪の毛1本にいたるまで、すべて、神の下に平等であり、自由であるべきなのだ」と話します。
「いま、わがフランス人民は、自由・平等・友愛を旗じるしに、雄々しくもたちあがった」
そして、オスカルは、今から貴族の身分を捨てると宣言し、隊士たちに選びたまえと言います。「国王の貴族の道具として民衆に銃をむけるか、自由な市民として民衆とともにこの輝かしい偉業に参加するか」
隊士たちの答えは決まっています。我々はあなたについていきます。隊長ばんざい、フランスばんざいの声の中、貴族であるダグー大佐、そして、中隊長たちは、度肝を抜かれ、ベルサイユに帰っていきます。
ダグー大佐は、「われわれは貴族です。もはや貴族以外のなに者にもなれません」とこたえます。
この言葉にも私は共感を感じます。オスカルのように、自分の信念を貫くことが出来る人ばかりではないし、自分の生きてきたこれまでの自分を捨てることは、そんなに簡単なことではないと思います。
そのことをオスカルは分かっています。幸運をいのると去ってゆくダグー大佐たちを見送るオスカル
そして、オスカルは隊士たちに「祖国のために民衆とともにたたかおう、歴史をつくるのは、ただひとりの英雄でも将軍でもない、われら人民だ、われらは祖国の名もなき英雄になろう」
「人間の世のあるかぎり、歴史とともに、われらがフランス衛兵隊の名は、永遠に人々の上にかたりつがれよう」と呼びかけます。
そして、テュイルリー宮広場を目指し、進軍していきます。