はるのゆめ

ベルサイユのばらが大好きです

七つの黄金郷(エルドラド)ネームから

未完の傑作である、本作品は最終巻にマンガのネームだけが、30頁掲載されています。

この作品の続きが描かれることは、ほぼないと言われていますが、このネームが、先のストーリーを考える上で、とても意味深いことが書いてありますので、今回取り上げてみたいと思います。

場面としては、アーサーの乳兄弟、ナイジェルと、アーサーの軍師、マリオットの会話です。オリビエとロレンツォと、アーサーの恋路を心配している二人の会話です。

ナイジェルが、マリオットに何が心配だ、グチは俺に言えというのです。

マリオットは、アーサーの天才的な軍師ですが、体がとても弱く、いつまで生きられるか分からないのです。

そのマリオットが、ナイジェルに、こんなふうに語っています。

「クレメンテ公ロレンツォ殿が難物なのは、彼が天才であり、知性も教養も申し分ない上に、おそろしく美しい男だからだ」

「気まぐれで、情熱のままにうごき、法王や王侯貴族たちでさえ、彼の身勝手を笑って許す」

「あの磨きぬかれた、あやしい宝玉のような男が、わたしの伯爵(マイロード)の恋仇なのだ」

「手放しにオリビエさまを熱愛し、おしみなく犠牲をささげ、狂おしいばかりの恋心をかくそうともしない」

「おそれるのは運命の一瞬だ」

「いまの公は、いまのままのオリビエさまに夢中だから、お触れにならないのだ」

「しかし、オリビエさまは微妙な年頃におなりだ。そのオリビエさまに、このまま、ずっと公が手をつけずにおいでだろうか?」

「ほんの一瞬、ほんのささいな理由にもならないようなきっかけで、たとえば、ほんのかすかな生ぬるい風がふいただけで、公は目がくらむような思いにとらわれるだろう」

「そんな運命の時、困惑するのは、けっしてオリビエさまが、公を拒まないだろうと思われることだ」

「公はオリビエさまのために、なんでもしていらした。けっして代償を求めずに」

「オリビエさまはそれを恩に思っておいでだ。いつも、なにか返せることはないかと思っておいでだ」

「公が我を忘れてオリビエさまを求める時、おそらく拒絶はない。抵抗はない」

「もしどちらかが後悔するとしたら、すべてがおわったあとだ」

こんなネームができているのです。これは、続きを読みたくなります。

まだ、天使のままのオリビエですが、ここまで読んだ限りでは、私はオリビエは、アーサーが好きなのだと思います。でも、このマリオットの言葉通り、ロレンツォのことも、とても大切に思っています。

この作品に登場する、山本鈴美香先生の描く男性は、理想の男性像が描かれていると思います。タイプはまったく違いますが、アーサーとロレンツォは、どちらも魅力的な人物です。

この恋の展開は気にはなりますが、おそらくは、オリビエはアーサーを選ぶか、どちらも選ばないかのストーリー展開になるのではないかと思います。