はるのゆめ

ベルサイユのばらが大好きです

オスカルの苦しみ

結婚話を断ってからのオスカルは、ばあやの話しでは、強いお酒を昼といわず、夜といわず飲んで、段々と病に蝕まれていきます。

フランス各地で暴動が発生し、フランスの情勢が、不穏な状況となっていく時期と、結婚話がなくなり、軍人としてこれからも生きていこうと決断した時期が重なっています。

オスカルは、抱えきれないほどの苦しみを抱えていました。飲まずにはいられないとばあやに話しています。
軍人として生きていく決断をしたオスカルですが、それだけこの選択はオスカルにとって重かったということだと思います。

アンドレの気持ちを知らなかったら、オスカルはジェローデルと結婚するという選択はあったのでしょうか。
私は最終的には、自分の人生について
考えたオスカルは、やっぱり結婚するという選択はしなかったような気がします。

軍神マルスの子として、生涯を武官として生きるという決断をしたのではないかと思います。

本編にはない言葉ですが、エピソード編には、「決して何かを諦めた結果ではない、自ら選びとった道でございます」
と父ジャルジェ将軍に語るオスカルの言葉が追加されています。

本編では、オスカルは、お酒を飲まずにはいられない気持ちをばあやに話しています。

「パリが爆発する・・フランス中が燃えはじめる・・どろどろした膿が今にもいっきにあふれでそうだ、やりきれない」
「ごめんね、ばあや、じぶんのことしか考えずに、自分の苦しみで心いっぱいで」と話しています。
そして、お酒をやめた時にも、オスカルは、ばあやにこんなふうに話しています。
「この重苦しい不安な世に、頭をまっすぐにあげ、臆せず、まえをだけ見つめている若者たちがいる、凛として大地をふみしめ、酒ににげようなどつゆほども考えず、ねえ、ばあや、はずかしくならないほうがどうかしている」

こんなふうに、自分の弱さを認め、苦しみを語ることができるオスカルだから、読者の多くがオスカルの苦しみに共感し、また、その生き方に惹かれるのだと思います。

崇高な理想にだけ邁進できた人物ではなく、そこには、人間としての心の葛藤がきちんと描かれています。

そして、オスカルがどれほど、ばあやを信頼し、心許せる相手であるかが分かります。ある意味、親以上の存在なのだと思います。