はるのゆめ

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アンドレの役割

アンドレは、オスカルの護衛兼剣の相手として、身寄りがなくなった8歳の時に、祖母が働いているジャルジェ家に引き取られて、オスカルと兄弟(妹)のようにして、育ちました。 

原作には描かれていませんが、ばあやとジャルジェ将軍が話している姿が、目に浮かぶようです。

年齢も一歳しか違わない二人、末娘なのに、男の子として育てられているオスカルの、丁度よい遊び相手(剣の相手)になるだろうと話し合ったかもしれません。

オスカルは、生まれた時から軍人になるように定められ、父から剣も射撃も仕込まれて育ちます。そして、士官学校にも行っています。

女性であっても、実戦で戦えるだけの、実力を持っていたと思います。

エピソード編では、ジャルジェ将軍は、アンドレにも剣を教えています。オスカルが未来の王妃様をお守りするという任務があるように、アンドレにもオスカルを護衛するという役割が、与えられていたことが分かります。

平民という身分でありながら、オスカルを護衛するために、アンドレは宮廷にも出入りしています。これは、かなり特別なことなのではないでしょうか。

首飾り事件で、ニコラスとジャンヌを捕らえようとした時、そして、黒い騎士を捕まえようとした時も、アンドレは、オスカルの側にいて、オスカルを助けています。

そして、オスカルが近衛連隊長からフランス衛兵隊の隊長になった時には、アンドレはジャルジェ将軍から、フランス衛兵隊に特別入隊し、オスカルのそばを離れるなと命じられています。

ジャルジェ将軍は、オスカルに関して、絶大な信頼をアンドレに置いていることが分かるエピソードです。

フランス衛兵隊に入り、アンドレは正式に銃を扱ったことがないことと、視力の衰えから、まとがかすんで、射撃が出来ず、こんなことでは、オスカルを守るどころか、足手まといになってしまうと苦しんでいました。

そんな時も、オスカルはアンドレにアドバイスをし、二人で射撃練習をしています。

二人のそれまでの関係性をみていくと、お互いを想い合うことは、必然だった気がします。

家族であり、信頼出来る相棒でもあったアンドレから、愛しているという告白をされた時も、オスカルは、アンドレのそんな気持ちに応えることは出来なかったのですが、アンドレをその後もそばに置いています。

おまえが、影のようについていてくれるからこそ、わたしは思うままに動くことができる、わたしひとりでは、なにもできないと言って、アンドレに感謝していました。ずっと子どもの頃から、オスカルにとっては、誰よりもアンドレは大切な存在だったのだと思います。

でも、あまりにも身近な存在だったため、自分のそんな気持ちを意識することはなかった、それだけ近い存在だったのです。

ジェローデルにアンドレを愛しているのですかと聞かれたオスカルは、分からないと答えています。でも、近く近く魂をよせあって生きてきたと言っています。アンドレが不幸せになったら、自分もこの世でもっとも不幸せな人間になってしまうと言っていました。

オスカルの結婚話があった時が、アンドレにとっては一番辛い時期だったと思います。おれの役目は終わったと言うアンドレの心はとても苦しかったと思います。

アンドレは、若い頃にオスカルに命を助けられています。オスカルは、自分の命を差し出し、アンドレを守ろうとしました。だから、アンドレは、いつかオスカルのために、自分の命を捨てようと思っていました。

正式な軍人として、訓練を受けたことがないアンドレが、ましてや殆ど失明しているのに、オスカルを守る為に、パリについていくことは、余程の覚悟がないとできないことだと思います。

そして、自分の役割を最後まで全うしたアンドレは、オスカルを守って銃弾に倒れます。先に神に召されたアンドレの顔は、満足して亡くなっていったように見えます。