はるのゆめ

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おまえが貴族でさえあったら

ジャルジェ将軍とアンドレが廊下ですれ違い、オスカルは連隊本部に顔を出しているかとジャルジェ将軍は尋ねます「兵士たちはオスカルのいうことでなければききません」とこたえるアンドレ

アンドレの顔を見たあとで、「おまえが貴族でさえあったら・・」とジャルジェ将軍は言います。

ジャルジェ将軍の親心をよく表していることばです。

ジェローデルとの結婚話を断ったあとで、オスカルはジェルジェ将軍に、生涯を武官として生きるという決意を話しました。その娘の決意を理解した父ですが、父の心は、娘に普通の結婚をして、普通の女性としての幸せを掴んで欲しいと思っていることが、よく分かる言葉です。

そもそも、軍人として、オスカルを育てたのはジャルジェ将軍です。でも、フランスの情勢が大きく変わり、娘を軍隊に置いておくことが、娘の命を危険にさらすことになるかもしれないと考え、結婚して普通の女性として生きて欲しいと願っているのです。

だんなさま、わたくしはと言いかけるアンドレの言葉をさえぎり、

「ああ、もういい、いってみてもはじまらん」と言うジャルジェ将軍

アンドレはこの時、何を言おうとしたのでしょう。このあとのジャルジェ将軍の言葉がおそらく、アンドレが言おうとしたことなのだろうと思います。

「わすれるな、オスカルは、おまえなしには生きられん。おまえは、あれの影になれ、光あるかぎり、存在をかたちづくる、影となって、無言のままそいつづけるがいい」「わたくしは影です。これからもずっと」とアンドレはこたえます。

たのんだぞとジェルジェ将軍は言います。ジャルジェ将軍が、アンドレをどれほど信頼しているかよく分かる場面です。

光ではなく、影として添いつづけるという生き方は、誰にでもできることではないと思います。それを受け入れているアンドレに心の葛藤はないのかなと思うこともあります。そのことについては、次回記事にしようかと思います。