はるのゆめ

ベルサイユのばらが大好きです

アランの悲しみ

バスティーユ襲撃では、オスカルが銃撃戦のすえ、銃弾をその身に浴びます。

指揮官として、先頭で指揮をとっていたオスカルは、銃で狙われ2発被弾しています。

そして、3発めは、オスカルを庇ったアランの腕にあたっています。

アランは、オスカルを腕に抱いて、戦線を離脱します。

アランは、昨日の戦闘でフランソワ、ジャン、アンドレをなくしています。

オスカルの悲しみの方が強いかもしれませんが、アランも仲間たちを、特に親友だと思っていたアンドレを戦闘で失い、心に深い傷を追い悲しんでいるのです。 

そして、今、オスカル隊長が、傷口から大量に出血し、刻々と死に近づいています。

ロザリーが、重症のオスカルを見つけ、悲鳴を上げます。そして、あっちでけが人の手当てをしていますからと言いますが、オスカルは自分がもう助からないことが分かっています。おねがいだ、おろしてくれと、アランに頼みます。

ロザリーはだめえッと言って、泣きながら、「がんばってください、もうすぐです、オスカルさま」と言いますが、「アンドレが、まっているのだよ、おろして・・」と言って、ふふっと笑います。その言葉にロザリーもアランも何も言えなくなります。

そして、この時のアランの表情が印象的です。唇をかみ、震えながら、涙をこらえようとするのですが、こらえきれずに、涙があふれています。オスカルを失うことへの深い悲しみ、そして、アンドレを失ったことへの無念さ、口惜しさがこの表情から分かります。

アランのオスカルへの気持ちは、男女の愛というよりは、敬愛するという気持ちのほうがしっくりときます。以前、衝動的にオスカルにキスをしたアランの気持ちを、恋なのかとも思ったのですが、その後のアランの様子を見ていると、恋というよりも、もっと、もっと、強い信頼の気持ちを抱いているように見えます。

オスカルを人として、隊長として心から尊敬し、その生き方、考え方、すべてに惹かれている、そんなアランの姿を見ることができます。

あまり、本編では語られなかったアランのオスカルに対する気持ちが、エピソード編では描かれています。

「あの方のためなら、俺の持っているものすべてを・・何もなければ、この命さえも・・すべて差し出してかまわないと俺は思っていた・・・それが人を愛するということなのだと、ようやくわかった・・・」

アンドレとオスカルの、二人の死を間近で見届けることになったアランは、革命後も、軍人として生きていきます。そして、池田理代子先生の「栄光のナポレオン」にも登場し、ナポレオンの部下として生きる姿が描かれているようです。

私はこの作品はまだ読んでいないのですが、ロザリーとベルナール、アランが登場するようです。