アンドレが亡くなり、翌14日、バスティーユ牢獄に向かおうとしているオスカル、オスカルの表情は、いつもと変わりなく凛々しい表情です。
そして、いつものように、「アンドレ行くぞ、用意はいいか」と声をかけます。
アランと隊士たち、そして、その言葉を言ったオスカル自身も、アンドレがもういないことを感じた瞬間です。
「アンドレ行くぞ」近衛士官の頃も、もしかしたら、もっと前から、共に行動するアンドレに対し、オスカルは毎日のようにそう言っていたと思います。
アンドレが亡くなったことは、勿論頭では分かっているのです。でも、アンドレ行くぞと声をかけてしまったオスカル
ここで、オスカルの心は一気に悲しみが、溢れてとまらなくなります。
アンドレが以前言ってくれた、「武官はどんな時でも感情で行動するものじゃない」その言葉が、アンドレが亡くなったあとの、オスカルの精神状態を支えていたのかもしれません。
本当は最愛のアンドレをなくした直後です。泣いて泣いて、夜通し泣いて、心が壊れ、なかば狂ってしまったようになっても、おかしくない状況です。
本当に悲しい時は、泣くこともできないという話しを聞いたことがあります。オスカルの心は麻痺して、アンドレが亡くなった夜は、泣くことも出来なかったという可能性もあります。
アンドレの言葉、そして、フランス衛兵隊隊長としての責任感がオスカルの気持ちを何とか支えていたのではないでしょうか。
私はここで、一気に悲しみに襲われてしまうオスカルの姿に心を打たれます。
それでも、これから軍隊を率いて出動するのです。顔をあげて、上を向くオスカルからは、何とか涙を抑えようという気持ちが伝わってきます。「しばらくすまない、みんな」と言いながら、涙を流すオスカルの姿に、
「いえ、いいえ、隊長」と言って、オスカルを心配しているアラン、そして隊士たち
オスカルは、顔を手でおおい、嗚咽をこらえきれずに、そのまま泣き崩れます。「わたしも死んだ・・」と
アランと隊士たちには、オスカルの悲しみにかける言葉はなかったと思います。でも、何も言わないけれど、隊長の気持ちが落ち着くまで、みんな待ってくれています。