オスカルが、近衛隊を辞めたとき、どんな気持ちだったのでしょう。
近衛連隊長は、現代風に言えば、超エリート集団のなかのトップだと思います。
自信とプライドを持って任務にあたってきたはずです。
しかし、ベルナールシャトレに言われた、王宮の飾り人形という言葉は、オスカルに相当なショックを与えています。
父ジャルジェ将軍にも、わたくしは人形ではありません!と答えています。
この時、ジャルジェ将軍は、怒りながらも、意外と、オスカルの気持ちを的確にとらえているのではないかと思います。
「いくら強くても女の身で近衛隊ならともかくほかの隊がつとまるか・・」と怒っています。
書斎でルソーやヴォルテールの本を読み、思想的にオスカルの心が少しずつ開かれていく時期ではありますが、それが、近衛隊を辞める理由ではないと思います。ましてや、失恋して王妃さまの側にいるのが辛いとか、フェルゼンを忘れるためとか、そういう理由でもないと思います。
オスカルは射撃も剣も十分に仕込んであるとジャルジェ将軍が以前言っていたように、剣の腕では誰にも負けたことがなく、自分の強さに自信を持っています。
フランス衛兵隊に行ってからも、あらくれ兵士たちに、「そういうことばはな、わたしと対等にわたりあえてから、口にしてもらおうと言っています。」
王宮の飾り人形ではなく、自分の実力で軍人として、やっていけることを、証明したかったのかもしれません。
もちろん、剣の腕が強いだけで、人はついていきません。温室育ちだったオスカルが、人間として、隊長として、成長していく姿が描かれていきます。そこが、面白いところです。
それにしても、怒りながらも、アンドレを呼び、すぐに対応を考えるジャルジェ将軍、さすがです。
アンドレにフランス衛兵隊に特別入隊し、オスカルのそばをはなれるなと命じています。
「あのばかが自信過剰の鼻っぱしらをへしおられて逃げだすまで、ともかく護衛しろ」と言ってます。このセリフ、娘への愛が溢れていて、好きです。
そして、アンドレ、ジャルジェ将軍に絶大な信頼を置かれてますね。