はるのゆめ

ベルサイユのばらが大好きです

3人を結ぶイザークの皇帝

来月地元の管弦楽団定期演奏会があり、そこで、演奏されるのが、ベートーヴェンの皇帝と運命ですごく行くのを楽しみにしています。

それはさておき、今回はオルフェウスの窓のことを書きます。

以前、15歳のイザークが、公園でベートーベンの皇帝を弾いたことを記事にしました。オルフェウスの窓のなかには、もう1箇所イザークの皇帝が描かれる場面があります。とても感動的な場面なので、今回とりあげます。 

イザークはその頃、ピアニストとして、ウィーンを拠点に、世界各地で演奏旅行をしたり、ピアニストとして、華々しい活躍をしていた時期だと思います。

アレクセイは、革命家として活動していましたが、シベリアに送られ6年がたっていました。多くの同志の命の犠牲の上に、ようやくシベリアから救出されたところでした。一方、ユリウスは記憶を失い、ユスーポフ邸にいた頃のことです。

ラジオから流れてくる音楽を聴き、アレクセイは、すぐにそれがイザークの演奏する皇帝だとわかり、「あの野郎以外にだれがこんなベートーベンを弾くものか、おれにはわかる」というのです。

同じ頃、ユリウスも別の場所で同じ音楽を聴いています。ぼくはこれを知っている、なぜこんなにも胸がさわぐのだろうと思い、ユリウスはピアノに向かい、これはベートーベンの皇帝だと言って、思い出しながら、ピアノを弾くのです。

まだ、音楽学校にいた頃、ユリウスはクラウスに、ぼくだって、クラウスと演奏したかったと言うのですが、この手でベートーベンは無理だよなと、クラウスに言われていました。女性のような手だからと言われて。

でも、ユリウスはクラウスと一緒に演奏することをずっと夢みていました。きっとひそかに練習していたのでしょう。そして、ピアノを弾き、記憶を少し取り戻すのです。思いだしたよ、ぼくは音楽学校の生徒だったんだと、思いだしたことを喜ぶユリウス

それにしても、レーゲンスブルク音楽学校で出会い、共に過ごしていた3人ですが、その時からは何年もたち、この時は離れた場所で、まったく違う境遇で生きています。

でも、イザークの皇帝の演奏が、距離も時間も境遇も超えて、3人を再び結びつけたのです。このあと、ユリウスはユスーポフ邸を出て、アレクセイと再会することになります。

アレクセイとイザークは、残念ながら、この後、再び会うことはありませんが、アレクセイのバイオリンは、めぐり巡ってイザークの手元に渡ることになります。