はるのゆめ

ベルサイユのばらが大好きです

オスカルを最後まで守って・・

銃撃戦が繰り広げられている、テュイルリー宮広場、オスカルは人生初の実戦ですが、軍人としての能力の高さを感じます。

しかし、フランス衛兵隊のフランソワがそして、ジャンが銃弾に倒れます。そして、悲劇が襲います。指揮をしているオスカルが突然咳き込んだのです。

オスカルに向けられる銃口、そして、それに気がつき、オスカルの前に飛び出し盾となり、銃弾に撃たれるアンドレ、そして、アンドレは落馬します。

オスカルはユラン伍長にあとの指揮をまかせ、戦線を離脱します。アンドレは、指揮をつづけろと言います。隊長が、なぜ戦闘現場をはなれると言います。

「ああ、そうだ、なぜ、なぜ、わたしは女だ、こんなにも指揮さえつづけることができないほど、どうして、女だ」とオスカルは心の中で、自分に問いかけます。

オスカルの心の葛藤、心の痛みが伝わってきます。そして、自分のことより、隊長として、指揮をつづけろという、アンドレの精神性の高さにも、心打たれる場面です。

そして、アンドレが歌を歌っていることに、オスカルとアランは気がつきます。苦しみ、痛みのせいでしょうか。それとも、意識が混濁してきているのでしょうか、よく分からないのですが、ともかく普通ではない状況のように見えます。

人の死に際に立ち会ったことは、私自身は数えるほどですが、リアルさを感じる描写です。オスカルとアランは、止血をしようと、アンドレを横にします。

アンドレはオスカルと言って、苦しい息の中、オスカルを求めます。そして、オスカルの顔に手を触れ、おまえの眼、そして、鼻、そうだ唇と言って、オスカルの顔に手を触れるアンドレ、眼の見えないアンドレは、このように、手で触れながら、愛するオスカルの顔を思い出そうとしています。

オスカルはここで初めて、アンドレの眼が見えていないことに気がつきます。

「見えてないのか、見えてないのか、いつからだ、アンドレ、いつからだ、なぜ、いわなかった、なぜ、ついてきた、このばかやろう」と言ってアンドレにつかみかかりそうになるオスカルをアランがとめます。

オスカルは、なぜ眼が見えていないことに気がつかなかったのか、なぜ戦闘現場に連れてきてしまったのか、なぜ、あそこでわたしは咳き込んだのだとか、いろいろな後悔が押し寄せてきたと思います。

でも、アンドレはオスカルのばかやろうのことばを聞いて、嬉しそうに笑います。

これでいいんだと言っているように見えます。

その瞬間、オスカルが子どものような表情を浮かべ、そして、涙ぐみます。

そして、アンドレは「みずを・・」と言います。オスカルは、泣きながら、すぐ、持ってきてやる、まっていろと言って、水を求めて走り去ります。

アンドレは本当に水を求めていたのでしょうか。最後のオスカルへの優しさのような気がするのです。

死んでゆく自分の姿を見せたくない、これ以上、オスカルに悲しみを与えたくないと思ったのでしょうか。

そして、心の中で、オスカルを想いながら息をひき取るのです。

「ときはめぐり、めぐるとも、いのち謳うもの、すべてなつかしき、かの人に、おわりなき、わが想いをはこべ」と

自分の死に際にならないと分かりませんが、私なら愛する人たちに見守られて、死んでゆきたいと思いますし、もし、自分の愛する人が亡くなるときには、そばにいたいと願うような気がします。

オスカルを最後まで守り、亡くなったアンドレアンドレ自身が一番納得のいく、亡くなり方なのではないかと思っています。でも、出来ることなら、この戦闘で命を落とさずに、生きて欲しかったと思ってしまいます。