はるのゆめ

ベルサイユのばらが大好きです

アランの片思いの始まり

最初はオスカルに反発していたアランが、いつから、オスカルを女性として、愛し始めていたのか、本編では、衝動的とも思えるキスシーンから、アランの気持ちが明らかになります。

時は、1789年6月23日、この日は、とても重要な一日です。とてもとても長く、いろいろなことが起きる一日なのですが、それはまた後日書きますね。

雨の中、平民議員だけを待たせている、ドルー・ブレゼ侯に腹を立てた、アランですが、ぶったぎってやると言って、駆け出して行きます。オスカルは青ざめて、アランの行動をとめるために後を追いかけます。オスカル足が速いですね。アランに追いつきます。ばかっ!無意味なことはやめるんだと言って、アランの腕を掴みます。

よけいなと言って、その手を振り切るのが自然ですが、なぜかアラン、逆にオスカルの両手首を掴み、唇を寄せます。オスカル、驚いて、目を開けたまま、アランのキスを受けています。

アラン自身も、もしかしたら、何故こんなことしてしまうのか分かってないかもしれません。衝動的な行為に見えます。

アランは、そもそもが、頭でいろいろ考えるより、体が先に動いてしまうタイプだと思います。

この時に、オスカルにキスをし、アランは自分の気持ちに気がついたかもしれません。

このキスシーン、見開き2ページ、時間がとまってしまったような、何の音もしないような、シーンです。
オスカルの驚きが伝わります。

やっと、時間が動き、オスカルは身を捩って、アランから逃れようとしますが、なかなか放してもらえません。
オスカルは、はなしてとやっと声を出します。

その時、追いついたアンドレに腕を捻じ曲げられ、痛みに顔を歪めるアラン、そしてアンドレの形相が怖い。本気で怒っています。殴ろうとするアンドレ、お互いを見つめあったあとに、観念したように、目を伏せるアラン。そんなアランの表情を見て、驚いたようにアランを見つめるアンドレ、アランを放し、殴るのをやめるアンドレ、いいのかというアランの表情、早く行けというアンドレの表情。

この4ページはセリフが一切なく、それなのに、アンドレの気持ち、アランの気持ちがひとつひとつのコマのその表情から、はっきりと分かります。池田理代子先生の表現力というのか、絵力というのか、まさに圧巻、秀逸な4ページです。

一切無駄な絵がないのです。そして、アンドレのモノローグが続きます。おまえもか、アラン、という。

アランが立ち去った後の、オスカルの表情が、また、何というか、大人の女性の表情です。アンドレに想われ、ジェローデルに求婚され、アランにキスされ、オスカルの女性としての心が急速に開かれていくというのか、そんな風情です。