「ベルサイユのばら」を若い頃読んでいた当時、ジェローデルの魅力はすぐには分かりませんでした。
どちらかというと、アンドレを苦しめる恋敵としか思っていなかったです。
ジェローデルは、池田理代子先生もとてもお気に入りのキャラクターのようですが、その気持ちが今ではとてもよく分かります。
アンドレが羨むだけのものをジェローデルは持っています。
オスカルに正式に求婚できる、家柄、身分そして、それだけではなく、オスカルのことを心から愛しています。
そして、オスカルの苦しみを受け止めようとするジェローデルは、包容力もあります。
ジェローデルが、求婚者として現れた時、オスカルの心に強い印象を残した一言があります。最初から女性として、見ることしかできなかったという言葉です。
フェルゼンに失恋した時に、フェルゼンは、オスカルにこう言っています。
「もしも初めて会った時、おまえが女性だと分かっていたら、あるいは二人の間はもっと違ったものになっていたかもしれない。」
この言葉はオスカルにとっては、とてもきつい言葉だったと思います。
自分ではどうすることも出来ない言葉だからです。
しかし、ジェローデルはオスカルが男装していようと、していまいと、最初から女性として、見ることしかできなかったと言っています。
この一言はオスカルの心に深く刺さったと思います。
エピソード編では、ジェローデル10歳、オスカルが11歳で、二人の初めての出会いが描かれています。
確かに、その頃から、ジェローデルは、オスカルをマドモアゼルと呼んでいます。
ジェローデルは、出会いの最初の頃は、オスカルを強く意識し、張り合うような気持ちを持っていました。
そして、オスカルが近衛連隊長になった時、「19歳の若さで、しかも女・・」と噂をする隊士達に、「あの方はここにいるどなたよりも強くて賢くていらっしゃいます」と言っています。
オスカルの副官として、傍で長いことオスカルを見つめてきたジェローデルは、オスカルと結婚するチャンスを見逃しませんでした。
ジャルジェ将軍がオスカルを結婚させようとした時に、一番初めに、オスカルの求婚者として名乗りを上げたのは、ジェローデルです。
オスカルに求婚するジェローデルの言葉、一つ一つにオスカルは、一言も反論はできません。多分オスカルの心の深いところでは、ジェローデルの言っていることは、当たっているからではないでしょうか。
ジェローデルは、オスカルにこんな風に語っています。
「そんなあなたがいたいたしい・・・欲しいと思ったことがあるはずだ、平凡な女性としての幸せ・・・わたしのこの胸でよければ、あなたの長い長い苦しみも悲しみも涙も、すべてあずけてください」その言葉に、オスカルは一瞬ジェローデルに身を委ねてしまいます。
でも、ここで、オスカルはアンドレとのキスを思い出し、ちがう私の知っている唇はとジェローデルを、振り切って逃げるのです。
ここの場面は、以前にも記事にしていますので、貼り付けます。ご興味のある方はお読みください。
そして、ジェローデルが一番魅力的だと感じるのは、オスカルのアンドレへの気持ちを知り、「わたしもまた、あなたが不幸になるなら、この世でもっとも不幸な人間になってしまうからです」と言って、身をひくところです。これ以上ないくらい美しい引き際が描かれています。
身をひくことがただ一つの愛の証という言葉を残して、ジェローデルは去っていきます。
ジェローデルとオスカルのエピソードは、どこをとっても、ジェローデルの魅力に溢れています。そして、本編では描かれなかった、また違う魅力あるキャラクターとして、「ベルサイユのばら」エピソード編にもジェローデルは登場しています。