はるのゆめ

ベルサイユのばらが大好きです

アンドレの心中未遂

毒入りワインを持ち、オスカルの部屋に行くアンドレ、そこには、ヌーベルエロイーズを読み、涙がこぼれてとまらないのだと言うオスカルの姿があります。

アンドレは、このオスカルの涙の意味には、気がついてはいません。そして、一緒に死のうという決意も変わらないようです。

でも、ここで、オスカルは死期が近づくと、と言ってアンドレをドキッとさせ、なぜか昔のことばかり思い出してしまうと言って、14歳の頃の自分のことを話し始めます。

「まだ、士官学校も終えないのに、国王陛下に任命されて、近衛連隊に入隊したのが、うれしくて、マリーアントワネットさまづきの近衛士官に選ばれたのが、うれしくて」と語ります。

「父上のおことばどおり、わたしが、わたしが、この類いまれな美しい妃殿下をおまもりするのだと・・」

「命にかえても、未来のフランス女王をおまもりするのだと」

「こんな調子ではわたしも先が長くないぞ」と自嘲気味に語るオスカル

この時、アンドレの脳裏に浮かんだのは、自分自身が起こした、マリーアントワネットの落馬事件のことです。

この時、オスカルが自分の命を投げ出して、アンドレを守ろうとしたことを思い出したのです。

その時の自分の決意をアンドレは思い出します。

「おれはいつかおまえのために命をすてよう、おまえがきょうこのおれのために命をかけてくれたように、いつか、おまえのためにアンドレはこの命をかけるぞ」

今自分はまったく逆のことをしようとしているではないか。オスカルの命を奪おうとしている。

アンドレはとっさに、のむな、のむなオスカルと言って、オスカルを止めようとして、オスカルを突き飛ばし、押し倒します。ワイングラスは床に落ちて割れます。そしてアンドレは良かったと涙を流します。

「なんという思いあがり、何という自分勝手な」と自分の身勝手さを恥じ、おれはこんな男だったのかと涙を流すアンドレ、なんの権利があって、おまえの命を・・おまえの人生を・・

アンドレは、悪かったと言って、ワイングラスを片付け始めます。

まだ、何が起こったのか分からないオスカルは、呆然としています。割れたワイングラスで、指から血が出るアンドレを心配して、「アンドレ手が・・」と言います。

こういう優しいオスカルが、私は大好きです。アンドレは、「近よるなっ!!」と叫びます。

オスカルは、呆然としながらも、何があったのかを察します。そして、母の部屋に行くのです。

一方アンドレは、オスカルのことをきっとまもってやる・・この命がつきるまでと、今までの苦しみが、嘘のような、清々しい表情を浮かべます。

この心中未遂事件をきっかけに、アンドレの心は180度変わっていきます。

アンドレの愛は、見返りを望まない無償の愛に昇華していった気がします。ジャルジェ将軍が、オスカルを成敗しようとした時も、自分の命を差し出し、オスカルを守ろうとします。

そして、アンドレはほぼ失明し、オスカルを守ることが難しい状況になっていくのですが、そのことを隠して、オスカルと共に、パリにも出動して行きます。そして、自分自身の命をかけて、最後までオスカルを守り抜きます。