はるのゆめ

ベルサイユのばらが大好きです

愛の告白を考える

以前、記事にしていますが、オスカルに愛を告白した時のアンドレの気持ちを、再度考えてみようと思います。

アンドレは、オスカルに10何年間もおまえだけを見、おまえだけを思ってきたと言っています。

当時の貴族の令嬢は、結婚し後継ぎを産むまでは、恋愛をする自由はなかったと書いてあるものを見つけました。

結婚までは娘は親のものであり、勝手に恋愛をしたりすることは出来ないし、結婚前に、男性と性的交渉を持った場合、その後、きちんとした結婚が出来なくなったと思われます。

ベルサイユのばら」エピソード編でもオスカルのお母さまの、ジョルジェットが、結婚前にジャルジェ将軍と、衝動的に結ばれ、その後母親に「ジョルジェットは修道院に行きます」と言っています。

少し話しがずれてしまいましたが、この時代は、身分の違いを超えることは出来ない社会構造なので、アンドレは、オスカルに自分の気持ちを伝えることも出来ず、そんな思いを心に抑えこんできたのです。

だから、オスカルと結婚する資格のない、平民のアンドレは、オスカルを愛していても、告白することは出来なかったという大前提があります。 

そう考えていくと、この愛の告白は、そうせざるを得ない状況に、アンドレの気持ちが追い詰められたから、ということが考えられます。

告白せざるを得ない状況になった理由は、フェルゼンが関わっています。

アンドレは、フェルゼンに会ったのか、何かあったのかとすぐに、オスカルがいつもと様子が違うことを察しています。

オスカルのことなら、どんなことでもすぐに分かってしまうアンドレです。

オスカルがフェルゼンと別れ、傷つき、悲しんでいることが、すぐに分かったはずです。

オスカルが、フェルゼンと別れたことにより、アンドレが平静さを失ってしまったのは、何故なのでしょうか。

オスカルに長いこと片想いをしてきたアンドレ、そして、それと同じくらい長い期間フェルゼンに片想いをしてきたオスカル、そんなオスカルのことを、そばで長年見てきたアンドレという構図があります。

そして、フェルゼンの気持ちが、ずっと、マリー・アントワネットに向いていることも、オスカルもアンドレも分かっています。

この状況がとても長く続いていて、この状況にはアンドレは慣れているのです。

そして、この状況が続く限りは、オスカルが、誰かほかの男性と恋をしたり、結婚したりする状況にはならないことが、分かっています。

アンドレのオスカルへの気持ちは、実らない恋ですが、オスカルがフェルゼンに片想いをしている間は、少なくとも、オスカルがほかの男性のものになることはないという、安心感のようなものがあったのではないでしょうか。

だから、オスカルがフェルゼンと別れたということから、アンドレの気持ちは追い詰められ、ここで自分の気持ちを伝えなければならないという、衝動に駆られてしまったということだと思います。

フェルゼンと何かあったんだなと言って、オスカルの両腕を強く掴むアンドレ、強く掴まれた腕と、アンドレの表情を見ただけで、オスカルは、顔色を変えています。

こんなアンドレを見たのは、おそらくオスカルは初めてだったのではないでしょうか。顔をそむけ、はなせと言いますが、アンドレは嫌だと言います。そして、大声ではなせアンドレと言うオスカルに対し、アンドレは、嫌だと言い、おれがこわいかと言います。そして、殺されたってかまわない、おまえを愛していると言って、オスカルに無理矢理キスをします。

その後のアンドレの愛の告白は、かなり性的な想いも含まれた切実な気持ちが語られています。

恋に対してはまだ無垢で、少女の心のままのオスカルに、この愛の告白はかなり衝撃を与えています。

恐怖にかられているオスカルは、アンドレに、はなせ、ひとを呼ぶぞと言って、本気でアンドレの手から逃れようとしています。

でも、アンドレはいったん溢れ出した気持ちには、もう蓋をすることは出来なくなり、自分がどれほどオスカルを愛しているか、その気持ちを分かって欲しいという想いが強く、オスカルの気持ちを考える余裕を失っています。

そして、「だから、だから、オスカル」のあとの言葉は、もしかしたら、愛しているではなかったかもしれませんが、余裕を失ったアンドレは、愛しているを連発し、さらにオスカルを追い詰めてしまいます。

私は、「だから、だから、オスカル」のあとは、ほかの男のものにならないと約束してくれと、アンドレは言いたかったのではないかなと思います。

アンドレは、おまえを自分のものにできるなどとも、結婚出来るなどとも考えていないと言っています。そのことは、望んでも無理なことが分かっています。

でも、オスカルをほかの男性に渡すのだけは、嫌なのです。それくらいなら、この場で旦那さまに射殺されてしまったほうがましだと言っています。

だから、アンドレにとっての望みは、オスカルがほかの男に恋をしたり、ほかの男と結婚して欲しくないということだと思います。

でも、アンドレの突然の愛の告白に、驚愕し恐怖さえ覚え、嫌がって逃げようとするオスカルと、オスカルに何とか気持ちを伝えたくて、冷静さを失っているアンドレ

オスカルをベッドに押し倒して、愛している、愛している、愛している、愛していると迫るアンドレに、とうとう、オスカルは、オスカルらしからぬ、悲鳴をあげてしまいます。

そして、オスカルは、心の中で「だれか、だれか、ああ、フェルゼン」と助けを求めています。(私は声に出して言ってはいないと考えているのですが)

でも、その心の声が聞こえたようなタイミングで、アンドレは、オスカルのブラウスを破ってしまいます。

オスカルは衝撃を受け、そのまま静かに涙を流します。オスカルは、アンドレの行為が怖かったと思いますし、こんなことをされて、傷ついたと思います。

でも、オスカルは、アンドレを責めるような言葉を発していません。

ただ、一言「それでどうしようというのだ、アンドレ」と言います。

アンドレはその言葉を聞き、そして、オスカルの涙を見て、自らを恥じたと思います。

すまなかった、もう二度とこんなことはしないと言うアンドレ

でも、それでも、オスカルをたとえようもなく愛しているアンドレ、オスカルの手を取り、その手に唇を寄せ、震えながら涙を流し、「だけど、ああ、愛している、死んでしまいそうだよ」と言うアンドレは、いつもの優しいアンドレです。

そして、その言葉を聞き、共に涙を流しながら、「アンドレ」と言うオスカルの優しい表情と美しさに、思わず見入ってしまいます。

この愛の告白シーンは、今後、オスカルとアンドレの関係性が変わっていくきっかけにもなる、とても重要なエピソードです。

ブログを開設した頃にも、この場面から記事を作っています。過去の記事も載せますので、興味のある方は、お読みいただけたら嬉しいです。

 

 

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