ジェローデルに結婚を断ったあと、父であるジャルジェ将軍を問いつめるような、思いをぶつけるようなオスカルの姿がとても印象的な場面です。
オスカルはもしあたりまえの女性として育っていたらと父に問いかけます。
自分も姉たちと同じように、嫁ぎ、子を生み、子を育て、そのような人生だったのかと、おこたえください!!と
父はそのとおりだ、もしもあたりまえの女性として育っていたらとこたえます。
以前、母から、父が自分に男として生きていく人生を強いてしまったことを後悔していると聞かされているオスカル
父のその言葉を聞き、父上感謝しますとこたえます。
女でありながら、これほどにも広い世界を、人間として生きる道を、ぬめぬめとした人間のおろかしさのなかで、もがき生きることを
もう後悔はございません、生涯を武官として、軍神マルスの子として生きましょうと父に言うのです。
人に決められた軍人としての人生ではなく、自らの意志で生涯を武官として生きるという決断をする場面です。
そして、エピソード編では、
決して何かを諦めた結果ではない、自ら選びとった道でございます。
という言葉が追加されています。
オスカルほどの大きな生き方の転換はないとしても、私たちもいくつかの選択をして、人生を歩んでいきます。そんな時に人に決められた人生ではなく、自分でその道を選んだと言える人生を歩みたいと願いますし、そのように歩んで欲しいという、作者からの強いメッセージのような気がします。
余談ですが、もう少しあとの場面で、ジャルジェ将軍は、アンドレにおまえが貴族でさえあったらと言います。アンドレのオスカルに対する気持ちを知ったあとにですが。
父は娘の生き方を認めているのです。でも、普通の女性としての幸せを掴んで欲しいという気持ちが続いていることが分かります。それが親の愛だと思いますし、ジャルジェ将軍の人間味溢れるところだと思います。