はるのゆめ

ベルサイユのばらが大好きです

パリ出動までの3週間

オスカルとアンドレ、二人の想いが通じあってから、パリに出動するまでの3週間、二人はどのような気持ちで、過ごしていたのでしょうか。

この期間、パリには、王家の軍隊が、続々と、入ってきており、パリ市民たちの間にも、武装蜂起の動きが起こり、いつ暴動が発生してもおかしくないような、まさに一触即発の状態だったと思います。

この頃、オスカルもアンドレも今までより、さらに内省的となっています。

オスカルは常に自分一人で考え、決断する、そのような人です。近衛隊を辞める時もそうでした。そして、今回も一人で考えているはずです。

オスカルが何かを決断する時に、誰かに相談する姿は描かれていません。

オスカルの人生の道標は、途中までは、父ジャルジェ将軍だったと思います。

でも、その父とも軍人として生きる道が異なってきています。

オスカルは、自分の進むべき道を、ずっと考えています。あるいは、もう決心がついていたのかもしれませんが、そのことを話すことができる相手はいません。そして、咳き込んだ時に吐血をしています。そのことを、家族にもアンドレにも誰にも打ち明けていません。

もちろん、家族やアンドレに心配をかけたくないという理由もあるかもしれません。もしかしたら、自分の命があまり長くないことを悟ったかもしれません。病だと言ったら、軍隊を辞めなければならないかもしれないと思ったのかもしれません。

ソフィアが言っていたように、何かに急き立てられるように、生き急いでいるようにも見えます。

生涯を武官として、生きる選択をした時から、心のどこかで、死を意識していたとは思いますが、病気で亡くなるということは考えてなかったはずです。だから、吐血した時に、とても動揺していました。

一方、アンドレも、ほぼ失明しています。オスカルの姿を見ることが出来なくなっていました。そのアンドレの気持ちを考えると、とても辛いです。

オスカルの姿を見ることが出来ない、アンドレは絶望したと思います。

でも、それ以上に苦しいのは、オスカルの側を離れることです。もし、目が見えないことをオスカルが知ったら、オスカルはアンドレに軍隊を辞めて、治療するように言うと思います。

もちろんばあやに口止めされたこともありますが、目が見えなくなっていることは、絶対に知られたくないと思っていたはずです。

でも、苦しいだけの3週間ではないと考えたいと思います。 

アンドレはオスカルと契りたいと思っています。愛し合っているなら、からだを重ねてみたいと思っています。

でも、俺には過ぎた望みなのかと思い、決してその想いをオスカルに伝えることはなかったのです。

では、オスカルはどうだったのでしょうか。そこまでの心の動きは、描かれていませんが、オスカルはアンドレを愛しています。そして、自分の命がそんなに長くないかもしれないと感じています。アンドレと身も心も結ばれたいと思う気持ちは、自然なことです。いつ言い出したらいいか、考えていたかもしれません。

そんな時、パリへの出動命令が出ました。オスカルは貴族の身分を捨てて、民衆側につくことも考えていたと思います。そうなった時、身分で隔てられていた、アンドレと結婚できるということも考えていたのではないでしょうか。でも、出動して、戦闘状態になるかもしれない、そう考えると、出動前に夫婦の契りを結びたいと考えたのではないでしょうか。

オスカルのアンドレへの誠実な愛を考えると、オスカルが愛おしくて、たまらない気持ちになります。33歳という若さで逝ってしまったオスカルが、とても愛おしい存在に思えて、アンドレと幸せになって欲しかったなと思います。