はるのゆめ

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命をかけた愛

「御身が血に染まらんより」という、タイトルで以前記事にした場面です。

オスカルがブイエ将軍の命令に背き、逮捕され、そこから逃げ出し、ジェローデルが率いる近衛兵を止めようとする場面です。

この時のジェローデルの気持ちを再度記事にしようと思います。

ジェローデルは、平民議員を会議場から、追い出すように、命令を受けたから、それを遂行しようとしか思っていません。

そして、それを阻止しようとするラ・ファイエット侯に、「お願いです。おどきください、われわれは貴族には手出ししない」と言います。

その時、オスカルがこの場に馬で駆けつけます。そして、「これから先は一歩も通さん」と言います。

ジェローデルは貴族です。絶対王政の中で、貴族として生きてきました。そして、オスカルのことを心から愛し結婚しようと思っていました。

この場に来たのが、オスカルではなく、別の人物だったら、または、ラ・ファイエット侯などのほかの貴族が、近衛兵を阻止しようとしたのなら、ジェローデルは、命令通り会議場に向かったと思います。ジェローデルは、命令に背くつもりは最初からありません。

でも、ジェローデルが退却したのは、近衛兵を止めるためにきたのが、オスカルだったからです。私を撃てと言ったオスカルに、マドモアゼル、剣をおおさめくださいと言っています。

ジェローデルは、オスカルが近衛隊の元隊長だから撃つことができない、というわけではないのです。ただ、オスカルだから撃てないのです。そして、わたしはあなたの前で卑怯者にはなれないと言います。それほど、ジェローデルはオスカルを愛しているのです。

わたしは迂闊にも、ジェローデルの気持ちを少し軽く考えてしまいましたが、彼の退却は、自分自身の命をかけた重い決断です。だから、あなたの命を絶つくらいなら、私が断頭台に立つと言ったのです。ジェローデルは、自分の愛に殉じようとしています。

命令に背いて退却したことから、ジェローデルは官位を剥奪され、営倉に閉じ込められていたために、生き長らえてしまったとのちに語っています。

命をかけた愛というと、フェルゼンを思い出します。でも、ジェローデルのオスカルに対する想いもまた、命をかけた愛です。

そして、エピソード編では、ソフィアの口から、ジェローデルの想いがこう語られています。

「オスカルさまが、なぜ、王室に逆らい、平民たちの側に寝返ったのか、その理由を理解したいと思っていらっしゃるのですね」と。