はるのゆめ

ベルサイユのばらが大好きです

「ヌーベル・エロイーズ」から

池田理代子先生が書いた「ベルサイユのばらで読み解くフランス革命」を読んでいます。

その本の中で、革命前にあらわれた自由思想というテーマで、ジャン・ジャック・ルソーと、彼の大ベストセラー小説となった「ヌーベル・エロイーズ」が取り上げられています。

身分の違う男女の恋模様を描いた書簡形式の小説で、70版以上を重ねた当時の大ベストセラー小説だそうです。

ベルサイユのばら」の中でも、アラン、アンドレ、ジェローデル、そして、オスカルも読んでいます。

そして、身分も立場も違う4人は、それぞれ違う想いで、この本を読んでいるのが、興味深いところです。

アランは、生きているのがアホくさくなると言っています。身分身分と誰が決めたか知らねえが、好きでうまれてくるわけじゃなしと言っています。

アランは貴族ですが、平民以下の暮らしをしている貴族です。そんな自分と自分の家族の境遇に強い不満と苦しみを持って生きていることがわかります。

そして、池田理代子先生は、この本のなかで、作品中の登場人物の気持ちを次のように解説しています。

ジェローデルは、ヌーベル・エロイーズを「たわいもない恋愛小説」と言っています。愛するオスカルに対して、正式に求婚することができる、ジェローデルにとっては、身分差が恋の障害となっているこの本には共感できなくて当然だと書いています。

一方、身分の違いにより、オスカルへの恋心を抑えなければならないアンドレにとっては、この小説に自分自身とオスカルを重ね合わせ、小説と同様、オスカルとは死によってしか結ばれないのだと気づかされてしまうと解説しています。

そして、「ヌーベル・エロイーズ」を読み、涙を流すオスカルのことも、このように書いています。

オスカルは結婚話があり、急に女性に戻れと言われ戸惑っていました。さらにその時期は、アンドレへのただならぬ想いに少しずつですが、気づき始めていて、そんな自分の中の女性の部分を意識し出したことで、本に対する思い入れも強まったと解説しています。

私も「ヌーベル・エロイーズ」を読んで、涙を流すオスカルの気持ちを以前記事にしていますので、ご興味のおありの方は、お読みください。

 

lapanlapin.hatenablog.com

 

「自由・平等・博愛」を説いたルソーは政府から危険人物とみなされ、弾圧の対象となり、逃亡を余儀なくされ、放浪のすえにパリで生涯を閉じたそうです。

池田理代子先生は、ルソーに限らず、この時代にあらわれた自由思想が、当時のフランス市民の心に強く響き、革命への一歩を踏み出させたのかもしれませんと書いておられます。