はるのゆめ

ベルサイユのばらが大好きです

きたかついに・・

ジャルジェ将軍と話しをした、すぐあとに、アンドレは、自分の目から光が失われたことに気がつきます。「きたかついに・・」と衝撃を受けています。

ずっと恐れていたことが、現実になりました。そのあとに、「おれにはまだ見たいものがある、神よ」とアンドレが言う場面があります。何を見たいのか書かれてはいません。前後を読み返しましたが、はっきりとは分からないのです。

肖像画に描かれたオスカルの姿も、4回も見たいと言っていたので、そのことなのかなとも思ったのですが、でも、もっと切実な願いのような気がしました。

でも、アンドレが戦闘で亡くなるシーンを読んで、アンドレが見たいものが分かりました。

アンドレは銃で撃たれて苦しい息の中、おまえの眼、そして鼻、そうだ唇と言って、手で触れて、オスカルの顔を確かめていました。目の見えない人は、手で触れて確認をします。

アンドレは、愛するオスカルの顔を手で触れて思いだそうとしています。

失明してから、ずっとオスカルの顔を見ることができなかったし、今亡くなろうとするこの瞬間にも、アンドレはオスカルの顔を見ることができません。

だから、失明した時にまだ見たいものがあると言ったのは、やっぱりオスカルの姿ですが、特にオスカルの眼、そして鼻、唇、それらを忘れないように、もう一度目の中に焼き付けておきたかったのではないでしょうか。

失明したあと、画家が来たことを知らせるために、オスカルの部屋にアンドレが入ってきます。アンドレの目にうつるオスカルの姿は、輪郭だけで黒く塗りつぶされています。アンドレにはオスカルの姿が、このように黒くしか見えていないのです。目が見えないこと、特にオスカルの姿を見ることができないことは、アンドレはとても苦しかったはずです。

それにしても、目が見えていないアンドレの描き方が、池田理代子先生はやっぱり上手だなと感じます。

オスカルがアンドレに遠い目をしていると言いますが、実際そんな風に見えます。また、オスカルが突然アンドレに抱きついたりすると、見えていないので、驚く体の動きがリアルです。

また、出動前日、アランが後ろからアンドレの近くに来た時に、前を向いたまま、アランかというアンドレの表情もリアルで、池田理代子先生はやっぱりすごいなと思います。