はるのゆめ

ベルサイユのばらが大好きです

イザークの妻、ロベルタ

連載当時「オルフェウスの窓」を読んだ時には、登場人物のロベルタがあまり好きではなかったです。

そもそも、生活のために、イザークが酒場のピアノ弾きをすることが嫌でした。ユリウスが心配していたように、イザークはタッチが荒れて、本来持っていたピアニストとしての崇高な演奏技術を失っていきます。

そして、ロベルタはイザークが働いていた、その店で知り合った女性です。わたしは、カタリーナが、イザークとはお似合いだと思っていたので、2部ウィーン編で、アマーリエに心惹かれてしまう、イザークには、読みながら、かなりイライラしました。

どうして、この女性の本質が見抜けないのだろうと思い、カタリーナやクララのような、聡明でイザークを支えられるような、女性を選んで欲しいと思っていました。

イザークは、アマーリエには、いったんは裏切られたにも関わらず、また、責任感から結婚しようかと思いますが、そのイザークには呆れてしまいました。でも、アマーリエとは別れることになります。

その後、ロベルタと再会します。イザークは、今度はロベルタを助けるために、結婚しようとします。ロベルタは、生活苦から娼婦になっていました。ダーヴィトには、大反対されます。私も絶対うまくいくわけないと思い、イザークは、結婚が分かってない、甘すぎると思いました。

案の定、大きな価値観の違いのある二人、イザークも貧しかったかもしれませんが、貧しさの質が違う二人、いろいろなすれ違いがあり、お互いを傷つけ合い、別れることになってしまいます。

でも、最近読み直して、ロベルタの愛の偉大さが分かってきたのです。

最初にそもそも、アナスタシアをかばい、自らが無実の罪をかぶろうとしたのも、イザークのためでした。

そして、ロベルタの愛の凄さが、発揮されるのは、イザークがピアニストとして、脚光を浴びているときではありません。むしろ、イザークの指が動かなくなり、イザークの精神状態、生活もどん底になってからでした。

なんとか、イザークの指の治療をするために、イザークには告げずに金策に走るロベルタ、そして、イザークの子供を宿していたのに、それを告げずに、別れることを受け入れるロベルタ、イザークもそのことを告げていたら、別れることにはならなかったが、そのことで、二人の仲を繋ぎとめることを潔しとしなかったと、語っています。

イザークは、自分がロベルタを助けたつもりでいたと思いますが、実はロベルタに支えられていました。

だから、イザークは、ロベルタのことを後でこのように話しています。

「思慮浅く、愚かではあったけれど、愛することに、類いなきまでの資質を備え、それゆえに、女性の持つ強さ、優しさを、みごとに体現してくれた、すばらしい女(ひと)」と。

本当にその通りの女性です。女性を見る目がないと思っていたイザークですが、イザークも、いろいろな人生経験を通して、成長したのだと思います。